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ティルソン・トーマスのラッグルズはもっと評価されるべき [音楽:クラシック]

さてさて、またまたMTTについて。先日書いたように、ドイツ・グラモフォンに残した20世紀のアメリカ音楽2枚、国内盤LPは未発売でした。アイブズ&ラッグルズのLPは高校当時都内のレコード屋をはしごして探して、ついに秋葉原の石丸電気で輸入盤を見つけたときは狂喜乱舞ものでした。ジャケットのインパクトと相まって、いかにも前衛だぞ!って雰囲気がひしひしと。
結局W・シューマン&ピストンのLPは買うことができませんでしたが、CD時代になって比較的容易に手に入れることができるようになりましたね。いい時代になったもんです。


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しかし何ですな、CDの収録曲は、ラッグルズとピストンがダブって組み合わされているという、消費者の立場からしたら非常に無駄な構成。全部揃えるために、なんで同じ曲を2度も買わにゃいかんのか!iTunes Storeだったら曲単位で購入できるから、効率良い買い方ができますが、どうせだったらデジタルダウンロード用にアルバム最構成して売ってくれたらいいのになぁ。CDそのままの内容での販売なんてなんと芸の無いやり方でしょう。

チャールズ・アイブズは本業は保険屋で休みの時に作曲をしていたという、完全なアマチュアリズムを徹底していた。しかしその作品は「趣味」でくくるにはあまりにも前衛的な内容になっていますよね。古典的な作曲様式はもとより、トーン・クラスター、コラージュといった技法を駆使して重層的な音響を作っていく。
「ニュー・イングランドの3つの場所」は、アイブズ独特のスタイルがアメリカ都市部の一日を描き出していきます。

一方のカール・ラッグルズCarl Rugglesは、寡作家でなおかつ改訂癖を持った作曲家として知られています。技法的にはよう分からんですが、聴いた印象としては、表現主義、とでも言うんでしょうか、不協和音を含む多彩な音響を積み重ねて重厚な世界を書き上げている。そんな中でも、ここで取り上げられた「太陽を踏む者」は、比較的とっつきやすい作品じゃないかと思います。チャイコその他でも存分に味わえた豊かなホールトーンを捉えた美し録音が、作品の持つ神話的な雄大さをより高めています。

CDではようやくピストン、シューマンも聴くことが出来ましたが、これはちょっとわたしにはつまらなかったかな、曲が。いかにもアメリカのオーケストラ作品といった開放的な作風が、大味に感じてしまう。それでも、シューマンのコンチェルトでは鬼才ポール・ズーコフスキーの技巧が堪能できたのが嬉しいですね。

MTTはラッグルズと親交があり、その啓蒙に努めているのもよく知られた話です。バッファロー・フィルを率いて80年にCBSからラッグルズの全曲集「Complete Music of Carl Ruggles」を出していて、そこにも「太陽を踏む者」は再録されています。ですが、DG盤と比較すると、当時のCBS特有のデッドな音響が作品の美しさを減じているのが残念な印象です。ですが、資料的価値は非常に高いですよね。他に録音ないんですから。LPをさっさとデジタル化しなくちゃカビちゃうなぁ、と思っていたところ、なんと今月末に待望のCD化が行われることが判明!


なんというご褒美でしょう!これは是が非でも買わなければ。デジタルリマスターによって、デッドな音響も改善されていることを期待してます。発売はソニー・クラシカルからではなく、「Other Minds Record」というマイナーレーベル。「Other Minds Festival」という現代音楽祭を開いている団体ですね。Amy X Neuburgのソロ再発を手がけたりとか、非常に意欲的な団体。歴史的演奏を残していくのはメーカーに頼っていてはできない時代になってきましたか。ソニーも赤字やばいですしね。
でも海外だとiTunes、Amazon、その他もろもろのダウンロード販売サイトで、ティルソン・トーマスのアルバム殆ど売ってるんですよね。ソニーに限らず日本DG、今はユニバーサル傘下ですか、なども、もちょっと努力してくれないものか。


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