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チェコのゴシック・ホラーの古典、「Valerie and Her Week of Wonders(Valerie a týden divů)」を観る [映画]

去年の春、シュヴァンクマイエルの「アリス」、チェコ語盤デジタルリマスターが出ましたが、円高で安かったので、amazon.co.ukから購入したんですね。




UK版はDVD+Blu-Rayセットで12ポンドしかしないのに、日本盤はそれぞれ別売りでしかも数千円する。日本でCDやDVDの売り上げ落ちるのも当然なことですね。それはともかく、購入後amazon.co.ukで薦めてきたのが、「Varelie and Her Week of Wonders」。映画あんまり見ないので知りませんでしたが、チェコ・ニューウェイブ・シネマの代表的監督、ヤロミル・イレシュによるゴスロリ・ホラーの傑作として有名だそうで。邦題が、「闇のバイブル 聖少女の詩」。なんじゃそりゃ。



最近調べたらUK 盤が10ポンド切ってたので、購入してみました。購入したのは、Second Run DVD社が2008年に発売したデジタル・リマスター盤。NTSCじゃなくてPAL版ですけど、Macなら問題なく閲覧可能。リージョンフリーで、しかも非常にクリアな画質で大満足。国内盤も出ていますが、それは2004年発売ですから古い版ですね。見たことないので画質の比較はできませんが。

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内容はググってもらえば色々見つかると思いますから端折りますけど、13歳を迎えた少女、Valerieが、初潮を迎えた直後に遭遇する不思議な出来事を描いた、吸血鬼も絡むファンタジー・ホラーといったところか。というか、一歩間違えば(間違えなくても)、ソフトコア・ポルノですよね、これ。映画公開されたのは1970年。時代背景考えると、共産党の検閲通ったのが不思議。プラハの春を経験して、浮かれてたのか。それとも軍事介入に対する反発か。

冒頭、Valerieが東屋でまどろんでいると、侵入者がこっそり彼女のイヤリングを盗んでいく。後を追うValerieが見るのが、異形の者とおもいきやイタチがニワトリを襲うところ。そして夜着のまま噴水の周りで泳いでいると、実は兄であるらしい侵入者Orlikがイヤリングを返してくれる。部屋に戻る帰り道、滴る鮮血を見つけておとなになったのに気づき.........って展開が続くんですが、正直、場面が脈絡なく繋がっていくので分かりにくい。しかも、この間ずっと、日中の明るい映像なのにValerieはランプを持ち歩いている。設定は夜なんですよ。いい加減、というか。

ここまで見て連想したのが、エド・ウッド。



「史上最低の映画監督」として、あるいはティム・バートンが半生を映画化したことによって有名な彼ですが、バートン映画を見るとなかなか面白い映画を作っていたようにも見えます。だが実際はほんとひどい。どのぐらい最低かって、たとえばこちらのサイトを参考にしていただければ。
http://www5b.biglobe.ne.jp/%257emadison/worst/directory/wood.html

実は彼の代表作、「Plan 9 From Outerspace」は、既にパブリックドメイン化しており、YouTubeでも見られます。


まぁ役者はイモな上に、舞台装置は貧弱、一連の場面なのにロケとスタジオが入り乱れたりさっきまで夜だったのにカットが変わると昼だったり。このいい加減さが、「闇のバイブル」も共通している。昼夜入り乱れているのは冒頭のシーン以外にも頻出するし、鳥小屋でOrlikと隠れている時に2人が笛を吹くんですけど、どう見てもリード楽器なのに、Orlikはフルートとして吹く演技、Valerieはクラリネットとして吹く演技。
それと、度々出てくる花売り(?)の少女はどういう役回りなのか?色狂い宣教師がValerieに夜這いかけてくるシーンとか、噴水の周りで鞭持った男たちに襲われるところとか、笑いなしには見られない。

エド・ウッドの映画と違って傑作としてその名を留める理由は、ちゃちなセットではなく、歴史ある建物で撮影されているっぽい豪華な映像か。もっともカメラワークとかそんなに優れているわけでもないですけど、雰囲気はいい。それと、主役が美少女!とにかくこれに尽きる。なにせ出演時が13歳。美少女とエロときたら、見逃す人はいないでしょう。変態紳士の方々には大変お薦めなポイント。
DVDにはおまけ映像として、Valerie役のJaroslava Schallerováのインタビューがついてます。2006年の。誰、期待したの!

エロい点といえば、エド・ウッドが晩年、「死霊の盆踊り」なるブルーフィルムの脚本書いてるところとか、これも共通点になるかな。まぁ色々ありますが、こういう映画は、とにかく何も考えずに映像だけ笑いながら見るのが正解。

あ、忘れてましたが、UK盤、R15指定だったりします。

ちなみにLuboš Fišerの手によるサウンドトラックは、モンドでいい雰囲気出しています。


チェコでは多くの映画音楽、TV音楽を手がける大御所みたいですね。交響曲などシリアス音楽も書いてますが、YouTubeで聴けるコンチェルトとかは、あまり面白くないかな。
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