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マイケル・ティルソン・トーマス=サンフランシスコシンフォニー日本公演 at サントリーホールに行ってきた [音楽:クラシック]

3月末に初めたこのブログも、8ヶ月弱で記事数が100に!記念すべき100本目の記事は、昨日サントリーホールで行われた、マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)の日本公演について。

MTTについては以前にも書きましたけど、LP時代からの大ファン。来日公演も結構行ってる。80年代だったかな?神奈川県民ホールでのLSPO公演に2回。90年代に一回、CDジャーナルのプレゼントでPMFオーケストラの公演チケットがあたったことあるんですけど、それはチケット届いたのが公演翌日で行けなかった。それと、あれは90年代だったけ?ピエール・ブーレーズ・フェスティバルの、クレーメルとロンドン響との公演。もうあれから随分経ちます。久々の来日公演、わくわくしながら行って来ました。オーケストラのコンサート自体、オペラシティでのアーノンクール以来、二年ぶり。
MTTコンサートチラシ.jpg

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演目は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」と、マーラーの5番。チケット発売当初はラフマニノフじゃなくて、ショスタコービッチのピアノコンチェルトの予定だったんですが、変わりました。ラフマニノフやショスタコービッチは殆ど聴いたこと無いので、どっちにしても、初めて。
それと、マーラーの5番は、LP時代はアバド盤を擦り切れるほど聴いてて、その印象が未だに強く頭に入ってます。プラス、ジャズピアニスト、ウリ・ケインが手がけた、マーラをクレズマーアレンジした「Urlichit」を聴いて以来、ジプシー音楽としてしか聴けなくなっちゃってるんですけど、それをMTTがどう調理してくれるか。


まず会場入って、チケットよく見たら、一階席後ろの方のど真ん中。はじっこ買ったつもりでいたからびっくり。ステージには、Keeping ScoreのDVDで見慣れた顔ぶれが並んでいるのでなんか安心します。で、ここでまたびっくり。ヴァイオリンが、左右に振ってある。向かって左から、第一ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリン。MTTなら、CBSでのベートベン全集時代からお馴染みの配置。ただ、Keeping Scoreでは一般的な弦配置で演奏しているので、期待していなかった。これは楽しみ。古楽器オーケストラならばかなり一般的。最近は現代楽器オケでも採用し始めてますよね。ジンマンのマーラーもこの配置。


期待の中、ユジャ・ワンとMTTの登場!実は、ユジャ・ワン聴くのも初めてなんですよね。腿まで大胆なスリット入ったドレスでセクシー。でも曲は、あんまりラフマニノフ好きじゃない。まぁパガニーニの有名なテーマによる変奏曲だから、ある意味安心して聴けますね。

ピアノがど真ん中にあるのでわたしの席からはMTTの棒さばきが全然見えないのが難点ですが、冒頭から、弦の配置が最高に威力を発揮してました。ヴァイオリン同士の掛け合いなど、細部が良く聴き取れて面白いし、オケが咆哮するときには高音から低音まで渾然一体となった響きを創りだす。ユジャも小柄な体に見合わぬパワフルな弾きぶり。今にもスイングしそうなぐらい、ノリノリなソロ。ユジャも見ながら左右のパートも目を配りという、舞台全体を見回し過ぎて首が疲れるぐらい。初めて聴く曲にもかかわらず、興奮してあっという間に終わっちゃた。

で、拍手鳴り止まない中、ユジャとMTTが何度か舞台袖に引っ込んだ後、スタッフがなにか持ってくるじゃないですか。途端に期待が最高潮。そして期待通り、MTTが楽譜を持って登場。デュオですよ、デュオ。MTTのピアノ達者ぶりは、以前取り上げた春の祭典の4手版でも堪能してますから、期待しないほうが無理ってもん。取り上げた曲は、プーランクのピアノ・デュオ。いかにもプーランクらしい、ジャズっぽさも取り入れた、でもバルトークぽい響きもあるひねくれた曲を、爽快に弾きまくってくれた2人に大興奮。

休憩を挟んだマーラーも、弦配置はそのまんま。冒頭のトランペットソロから、歌いまくる節回しがさすがMTTです。イーディッシュミュージック的なメロディも、MTTの手にかかれば絢爛豪華な一大絵巻と化してしまいます。踊るような指揮ぶりも相変わらずの熱演です。そしてマーラーではラフマニノフ以上に、弦の配置が効果を発揮。チェロがゆっくりと主題を奏ではじめ、徐々にセクションが加わっていく。左右を見比べるのにますます目が回ってしまう。って、ここまで書いてて、わたしがMTTのマーラー買ってないのバレバレですね。MTTのアルバム、DG、CBSそれにRCAから出たものは多分殆ど持ってると思うんですけど、マーラーシリーズはSACD仕様で、再生装置持ってないわたしには無駄に高かったんで、ベートーベン全集で面白い物効かせてくれたジンマンのを買ってました。反省。今はiTunesからでも買えるし、MTTで揃え直すことを決意。


引き続いて突入する2楽章も、SFSの豊かな響きが気分を盛り上げてくれます。3楽章あたりで近くの席の方がいびきをかきはじめたのはご愛嬌。で、4楽章。いわゆる「アダージョ」ブームで一躍有名になったところ。へたすると臭さが鼻についてしまうアプローチですけど、やはりここでも弦の配置が最強に威力を発揮してます。艶やかに粘り強くメロディを歌い上げるMTTの音楽作りが、パート間の掛け合いを際立たせ、極上の音空間を築きあげてくれます。そして畳み掛けるように第5楽章。MTTも1944年生まれだから、もうすぐ70になるんですよね。指揮する様子が流石に疲れが見えてきた感じでしたが、音楽は最後まで緊張感を途切れさせない。わたしのつたない文章では全然凄さが伝わらないと思いますが、最高の一夜を過ごしてきました。

今日も東京文化会館でライブあるんですよね。そちらは行けませんでしたが、もう来日の機会もなかなか無いだろうから、行きたかったな。
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コメント 4

たいやま

はじめまして。
自分も当日聴きに行きました。
久しぶりに快演!に立ち合ったという感じでしたね。
オケ下がってから、2回も呼び戻されたのよくわかります。
終演後、本当にいい気分で赤坂見附の焼トン屋で一杯やってからホテルに帰りました(^^)
ちなみにSACDも聴く限りVn両翼配置ですよ。(愛聴版の一つです)
是非、また来日してほしいですよね。
by たいやま (2012-11-22 00:23) 

fsm

たいやまさま、コメントありがとうございます。
会場におられたのですね。ほんと、大変充実したコンサートでした。
やはりアルバムも両翼配置なのですね。早速、と言いたいけどお財布と相談しながら購入します!
by fsm (2012-11-23 00:15) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ響の来シーズンのカタログ....

http://www.sfsymphony.org/SanFranciscoSymphony/media/Library/PDFs/16-17/1648-15_Brochure_1617season.pdf
by サンフランシスコ人 (2016-03-09 04:11) 

fsm

サンフランシスコ人さん、
素晴らしい情報ありがとうございます。なかなかアメリカまでライブ聴きに行くのも大変なので、サンフランシスコが地元の方は羨ましいです。
by fsm (2016-03-12 22:34) 

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