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Spotifyなど、定額配信サービスを槍玉に挙げる人がいるようですが [音楽:その他]

「Music Unlimited」とか、定額聴き放題サービスが色々ありますね。Music Unlimitedも今月から利用料金33% offの月額980円で利用できるようになったようです。もっとも私は利用してないんですけど。わたしの聴きたい曲なさそう。MTTやSalonenの旧譜聴き放題っていうんならちょっとは興味ひかれるけど。
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んでんで、Spotifyの日本参入が噂されるなど、これから音楽業界も激変ですか?みたいなことが今日のYahooニュースにも出てた。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/computer/music_distribution/?1362263547
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130303-00013083-toyo-nb

それに伴い様々な議論があるようですが、なんか的はずれなのが多いのかな?上記のニュースにリンクされていた「nikkei TRENDYnet」の記事がひどい。
音楽配信サービスの進化とアーティストの苦境
以下引用
「ただ、こうした定額制の音楽サービスが普及した場合の最大の問題点を忘れてはならない。音楽を作る肝心のアーティストがより一層の苦境に陥りかねないのである。」 「昨年暮れに、米国のZoe Keatingというモダンスタイルのチェロ奏者がネット上で定額聴き放題サービスから得た収入の詳細を公開したが、その内容はショッキングの一言である。

彼女の曲は、「Pandora」という定額聴き放題サービスで昨年のうち6カ月で150万回以上ユーザーに聞かれたが、そこから払われた収入は1653ドル(約15万5400円)である。

また、彼女の曲はスポティファイでは昨年の間に13万1000回ユーザーに聞かれたが、払われた収入はわずか548ドル(約5万1500円)である。即ち、スポティファイについて考えると、ユーザーが彼女の曲を1回聞きいたときに彼女が得られる収入は0.42セント(約0.4円)なのである。」

以上引用おわり
だ か ら な に ?

Spotifyユーザーが他のサービスを利用できないわけじゃないんだから。別データですけど、Zoe Keatingの楽曲販売収入のうち、Spotify等のストリーミングサービスが占める割合は1%にすぎない。
http://www.hypebot.com/hypebot/2012/08/a-look-inside-zoe-keatings-earnings-as-an-indie-musician.html
http://zoekeating.tumblr.com/post/16086277627/my-treaming-data
https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AkasqHkVRM1OdDZ4ekFtSjM5OHZ4TFZKX0pWcUFmNmc#gid=0
それに、公開したのは楽曲販売だけ。他にもライブやら映画音楽やら何やら収入源はあるんですから。
それらを知らずに、「約15万5400円」「約5万1500円」なんて数字だけ見せたら、ソース見ない人は「これで食っていけるのか!」って事になり、アンチストリーミング派になっちゃう。だいたいソースもないし。ここまでメディアの記事を鵜呑みにしてはいけない典型例を見せつけられたのもひさびさかな。

そもそも彼女が楽曲収入を公開した目的は、Spotify、Pandora等の新興サービスを貶めるのではありません。むしろ歓迎しているような論調。インディ・アーティストの収入を効率化するためのモデルケースとして公開している。iTunesやAmazon、Bandcamp、CD Babyといった様々な手段を効果的に利用しましょう、ということ。アーティストにとっては、直販の機会が増えれば儲けが増える。

注目しなければいけないのはZoeのこの発言。
Bonus, Deep Thoughts! I think Spotify is awesome as a listening platform. In my opinion artists should view it as a discovery service rather than a source of income. (Spotifyは、聴き手にとっては素晴らしいプラットフォームです。アーティストはこれらのサービスを収入源として考えるのではなく、自分の曲を見つけてもらうきっかけとして捉えるべき)
これはボーナスなんですよ、と。アーティストはそこをよく理解して自分の楽曲を管理すべきですよ、と。アーティストにとっては自分の曲をリスナーに知ってもらえなければ話しにならないわけで。そのうえで、どのコンテンツをどのチャンネルで販売するか、のコントロールが収入を高めるポイントになると。事実彼女がSpotifyで公開しているのは過去のアルバムだけ。

そもそもアーティストにとって、楽曲を露出する機会がなければ売れないわけで、特にインディ系やマイナーなジャンルのアーティストなど、Spotifyなどの定額サービスはそのチャンネルの一つとしてとても有効であるわけです。Zoeの論点の最も大事な部分を引用せずに、Spotifyという一部の販売金額だけを取り上げて大げさな危機感を煽るような文章を書くなんて、典型的なストローマンとしか言いようがない。

この問題の構図は、製造業と量販店の関係と似ているのかもしれませんね。量販店は安く売りたいのをメーカーや卸はやめさせたいみたいな。レコード会社にとっては、定額配信サービスは価格破壊者に見えるんでしょうね。この「nikkei TRENDYnet」の記事を書いた方の肩書き見ると、業界の代弁者みたいなうがった見方をしてしまう。

ちなみにZoeの音楽活動についてはこちらの記事をご参考に。
「Rasputina」と「Zoë Keating」


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